食品表示知ってるつもり!? 表示はココを見ろ!(2010/7/20) ホームページ→【食品表示情報局】 http://shokuhin-hyoji.com/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆「またウナギですか…」◆ みなさんこんにちは。 食品表示情報ネット神戸の梶原です。 関西もようやく梅雨明け。 と思ったら日差しがキツくて…という感じですが、お元気でしょうか? 今回はこのニュースから。 ------------ 【ウナギ産地偽装:台湾・中国産を愛知産と表示】 台湾や中国産のウナギかば焼きを「愛知県産」と偽装し販売したとして、 警視庁と大阪府警はウナギ卸売り大手「セイワフード」(東京都港区)と 取引先の食品加工会社「大福」(大阪府茨木市)の本社などを15日に 不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で家宅捜索する方針を固めた。 (毎日新聞・7月15日) http://mainichi.jp/life/food/news/20100715ddm041040166000c.html --------------- すでにご存知の方は多いと思います。 ウナギに罪はないというのに「またか」という感じではあります。 JAS法による行政処分も下っているとは思いますが、 不正競争防止法で警察が動く事態になっています。 なぜか「ウナギ」関連でよく出る同法ですが、 あのミートホープ事件以降、この法律の名前が世間一般に広がったように思います。 よく当方にも、 「JAS法などの行政処分で止まるか、不正競争防止法で警察が動くかの境目はありますか?」 という質問があります。 カンタンに言うと、 ◇不正競争防止法→業者間の偽装 ◇JAS法→対消費者における偽装 ということになります。 これは法の条文の第一条を読めばわかります。 法というものは第一条(目的)から始まることが通常だからです。 なので、それぞれの法の第一条にはその目的として、 「事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保する」 (不正競争防止法) 「農林物資の品質に関する適正な表示を行なわせることによつて一般消費者の選択に資し」 (JAS法) という文言が含まれています。 ご興味があればお読みいただければとは思いますが、 その目的がやはりそれ相応に違っているということは言えます。 ちなみに、 食品関連の訴訟というのは多くはありませんが、 製造物責任法に基づく損害賠償訴訟がいくつかあります。 -------------- (参考) 【輸入瓶詰オリーブによる食中毒と製造物責任】 http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/200207.html 【イシガキダイによる食中毒と製造物責任】 http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/200402.html --------------- これら製造物責任法における損害賠償請求において、 民法709条による不法行為とは違って「故意・過失」要件がありません。 つまり健康被害を出せば一発アウトの可能性が非常に高いのです。 ですのでくれぐれもご用心を! さらに、 ------------- 【食肉偽装:競争過熱、お互い「隣がやった」 大阪府、2店を指導】 外国産の豚肉や牛肉を国産と表示して販売したとして大阪府は12日、 食肉小売業者「MORI」(同府柏原市)と「肉のいろは」(同)に対し、 日本農林規格法(JAS法)に基づき、適正な表示をするよう指示した。 (毎日新聞・7月13日) http://mainichi.jp/kansai/news/20100713ddn041040012000c.html -------------- こういったニュースも。 記事が、 「二つの業者は同じショッピングセンター内の隣同士で営業。 お互いに「隣の店がやっていた。競争に負けないために表示を偽った」などと話しているという」 と続くこの事件。 食中毒案件でもないのでそれほど大騒ぎになっているわけでもないようですが。 当方に言わせれば危ない事件です。 単に偽装案件だから「危ない」というわけではなく、 「指示=行政処分」で済んでよかったね、という案件です。 原産地偽装となれば、最近ホンの少しだけ話題になった、JAS法23条の1に抵触すると思われるからです。 条文には、 ◇原産地(原料又は材料の原産地を含む。)について虚偽の表示をした飲食料品を販売した者は、 二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する と書かれています。 さらに言えば、ヘタをすれば詐欺でも立件可能と推測されます。 それも民法上の詐欺(96条)ではなく、刑法上の詐欺(246条)で。 記事の内容が正しいのであれば、「隣の店に負けないため」などというリクツを作ってます。 しかしそれなら、 「偽装を自覚している」=「消費者を騙すつもりで騙している」 と解釈されかねません。 ミートホープ事件の二の舞? (正確にはミート〜は不競法違反と詐欺罪の両方を問われ懲役4年) この二店の店主はミートホープ事件を知らないのでしょうか? 素人考えは実に危ないという見本のようなものです。 因みに罰則は、 ◇刑法(詐欺罪)→10年以下の懲役 ◇不正競争防止法(虚偽表示)→5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金 となってます。 (JAS法については前掲) くれぐれもご用心! ではまた次回。